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麻炭お香 × バーの店長|靴を脱ぐ前に、煙を灯す理由がある

25 avr. 2025

間宮 涼(まみや りょう)、37歳。吉祥寺の路地裏でバーを営む店主。

最後の常連が帰ったのは、1時45分。

氷を捨て、照明を落として、シャッターを閉めて。

自宅の玄関に着いたのは、それから40分後だった。

明かりのついていない玄関に足を踏み入れると、彼はまず電気を点けず、靴も脱がない。

玄関の棚に置かれた木箱から、涼はお香のパッケージを手に取った。

──京都麻の葉の麻炭お香。

黒く、小さなコーン型。

ほんのわずか、指先に炭の粉が付く。

 

それを、小さな陶器の香皿に立てて、ライターで火を点ける。

ぱち、と音がして、じんわりと白い煙が立ちのぼる。

「ここで、いったん切るんだよ。今日の続きを」

火をつけたあとは、何もせずにそのまま立っている。

ドアのすぐ内側。照明はつけない。

靴も脱がず、バッグも置かない。

ただ、玄関という“外と内のあいだ”で、煙が静かに空気を浄化していくのを待つ。

麻炭お香の香りは、優しく控えめだ。

強く主張しないかわりに、空気の密度をほんの少し変えてくれる。

炭火のぬくもりと、針葉樹のような透明さが、静かに交差する。

店ではいくらでも話す。

でも、帰宅して最初に必要なのは、誰とも交わらない静けさだった。

「言葉を使いすぎると、香りでリセットしたくなる」

誰に言うでもなく、涼はつぶやく。

5分ほど。

煙が緩やかに空間に馴染みきったのを見届けてから、ようやく靴を脱ぐ。

鍵をかけて、鞄を置いて、部屋着に着替えるのは、それからだ。

彼にとって、“帰宅”とは靴を脱ぐことではなく、この煙のなかに身を置くことだった。

誰も見ていない。

誰もいない。

でも、自分だけは知っている。

この煙が、今日と明日の境目になることを。

ただいまを、香りで切り替える。
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▼ バーの店長、間宮 涼(まみや りょう)の「京都麻の葉 物語帖」
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