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桜七味と炭七味 × 新社会人|ごはんの記憶を、香りで贈る母の日

19 lut 2025

東京のワンルーム。

六畳ひと間にテーブルと電子レンジ。

突っ張り棚の上に、買い置きのインスタント味噌汁が並んでいる。

田辺 芽衣(たなべ めい)、22歳。

春から始まった会社員生活は、想像よりずっと体力を使う。

帰宅しても、料理をする気力なんて湧かない。

まな板は買ったけれど、まだ一度も使っていない。

母の日が近づいていた。

実家の母には、毎年なにか贈っているけど──今年は、なんだか気持ちが違っていた。

上京してから、ちゃんと“ありがとう”を伝えていない。

いつも通り花を贈るだけじゃ、足りない気がしていた。

昼休み、たまたま寄ったビルの1階で、ポップアップの和雑貨店を見つけた。

小瓶に詰められた七味が何種類も並んでいて、芽衣の目に留まったのは「桜七味」と「炭七味」のセットだった。

手にとって、そっと桜七味のふたを開ける。

──甘く、やさしい。

花が湯気に溶けるみたいな、ふわっとした香り。

筍ごはんを炊いた春の食卓を思い出した。

「ほら、たけのこ、あんたが細かく刻んだんだよ」

そう言って、母が笑っていた。

炭七味の瓶を開けた瞬間には、ちがう記憶が蘇った。

夜、塾から帰ったあと、焦げ目のついた焼きおにぎりを母が黙って差し出してくれた。

香ばしい匂いが鼻に抜けた瞬間、「おなかすいてたの、バレてたんだな」と思った。

高価な贈り物じゃなくても、“あの人のごはんの記憶に、そっと寄り添うもの”なら、それでいいのかもしれない。

七味のセットを包んでもらい、駅前のカフェで便せんを買った。

「ありがとうって、今さらだけど」と書いて、「いつか一緒に、またあのおにぎり食べたいな」と結んだ。

数日後。母から、LINEじゃなくて手紙が届いた。

あんたが送ってくれた七味ね、桜のほうはお吸い物に入れて、炭のほうは鶏を焼いたら最高だった。

香りって、ほんとに思い出を引っ張ってくるのね。

芽衣は、返信の手紙を握ったまま、キッチンに立った。

豆腐とわかめの味噌汁を温めて、桜七味をひとふり。

ふわっと立ち上がった香りが、東京の部屋に、小さな春を咲かせた。

ごはんの記憶を、香りで贈る母の日。
桜七味と炭七味のセットを見る

[桜七味&炭七味]七味唐辛子セット - 料理を格上げする和スパイス|10g

▼ 新社会人、田辺 芽衣の「京都麻の葉 物語帖」
柚子精油と檜精油 × 新社会人|整える香りが、夜と朝の呼吸になる
→ 麻炭で薫る癒しのお香 × 社会人|誰にも会いたくない夜に、煙だけがそばにいる

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